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いつか見上げる空の色(13) 


「ん、どうした。まだ起きてたのか」
 コウさんの返事はすぐに戻ってきた。
 ぼくが驚いたくらい明瞭な、はっきりした声だ。眠そうな雰囲気なんて微塵もない。コウさんも眠れずに起きてたんだ――、そう思った瞬間、なんだか妙に嬉しい気分になってしまう。
「うん、なんだか寝つかれなくて」
「そっか、あれだな、旅先で枕が替わると寝れないのと同じだ」
「そんなものかな」
「ああ、たぶんな」
 短くポツリとコウさんは言い、そこで会話が途切れてしまったのだ。
 不意に生じた沈黙の重さに、ぼくは息が詰りそうな息苦しささえ感じていた。
 それが寝てしまう潮時だったかもしれない。コウさんもそう思っていたのかもしれない。極端な話、とりとめもなく話し続けていたら朝が来てしまう。
 でも、ぼくはもっと話していたかった、もっとコウさんの声が聞きたかったのだ。
 布団に包まって天井を睨むように眺めながら、ぼくは話題を必死で探した。
「ねえ、寒くない? それって」
「ああ、大丈夫さ、もともと外で使うものだしな、それにこれでも一応は羽毛だからな。高かったんだぞ、これ」
 さっき聞いたのと同じ説明だ――、ぼくはそう思いながらくすくす笑った。
「もっと話してもいい?」
 ぼくは遠慮がちに尋ねた。「コウさんはもう眠い? そうならもう寝るけど」
「いいよ、俺も眠れないからな」
 背中越しにコウさんの苦笑交じりの声が聞えた。
「ごめんなさい、ぼくが布団、とっちゃったから」
「あはは。別にいいんだ、気にしなくて。それに、そのせいじゃないから」
「ぼくさ、コウさんのこと好きだよ、だから――」
 ぼくは自分の口から流れ出た言葉に驚いていた。
 本当に自然に何の抵抗もなく、好きだなんて言ってしまったからだ。そんな言葉は友だちにだって親にだって言った事なかったのに。ぼくにとって生まれて始めての言葉――、告白だったのだ。
「ありがと、そりゃ嬉しいよ。だけど、そんなことは滅多に言わない方がいいぞ。俺、すぐに本気になるからな」
 そのコウさんの声は、ほんの少しの短い沈黙――、それは一呼吸分くらいだと思ったけど、わずかな間を置いてから返ってきた。
「うそじゃないよ、本気だってば!」
 ぼくはむきになって叫んだ。「本気で好きなんだから」
「今はきっと、感謝とか、そんな気持ちがゴッチャになってるだけだと思うんだ。だから頭を冷やしたほうがいい。それじゃ、ちょっと昔の話してもいいか。おまえも俺も眠れないみたいだし……」

《続く》






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