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いつか見上げる空の色(14) 


「うん」
 ぼくはホッとしながら頷いた。
 自分でも驚いたくらい変なことを口走ってしまったけど、ぼくが望んだとおり、もっと話していられるとわかったのだ。
「昔さ、好きっていうか、すごく尊敬してて、憧れてた部活の先輩がいたんだ。用もないのに周りをウロウロしてた、少しでも一緒にいたかったからな」
 ぼくに向かって話しているというよりも、独り言に近いような、何か懐かしむようなコウさんの口調だった。これから何の話が始まったんだろう――、そう思いながら次の言葉をぼくは待った。
「今のお前みたいに尊敬してるのか、好きなのか、なんだか曖昧な感じだったけどさ。たぶん、どっちも本当だったと思うんだ。でも、ある日、無理やりされちゃって――、すごく怖くて、初めてだったからな。すごいショックだった。そんなこともあったから助けたんだ、お前のこと。怖かっただろ、あのとき」
「うん……」
 ぼくは身を震わせて頷いた。「怖かった。でもコウさんは違う」
「いや、同じだ。何も変わらない」
 コウさんは断言するような強い口調だ。
「どうして?」
 ぼくはコウさんの口調に驚いて、布団の上に身体を起こした。「だってコウさんは優しいし……」
「さっきな、俺の服着てダブダブの格好してただろ。お前みたいな小さなやつと付き合ったことないけど、すごく可愛く思えてさ、思わず抱きしめたくなった。やばいと思ってやめたけどな。だけどそうじゃなかったら、たぶん止められない、俺が今度は酷いことしてしまう。だから今だってお前の顔を見る勇気もなくってさ、ずっと壁を睨んでたんだ。それで眠れなかったんだ、情けないよなあ、こんなの……」
 苦笑交じりのコウさんの声が暗がりに消えていった。それっきりコウさんも黙り込んでしまい、聞こえるのは単調な時計の音だけだ。
「でも……」
 それでも好きだから――、ぼくは、そう続けようとした。コウさんなら何されてもいい――、って。でもその言葉を思わず飲み込んでしまったのは、ゴソゴソと音がして暗がりの中でコウさんが身体を起こしたからだ。

《続く》






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