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旅路の果て(01) 


 ぼくらは旅を続けてた。
 街から街へ、山河を越えて。

「きっとあれだ、ついに来たんだ!」
 ぼくは立ち止まり、遥か遠くを指差した。
 どこまでも続く砂原の遥か彼方に蜃気楼のような朧な姿が浮かんでいたのだ。
 まだ小さな、でも明らかに人工物とわかる細い塔のようなシルエットが陽炎の向こう側で揺れていた。まるで、ぼくらを誘うように――。
「日のあるうちに辿り着けるだろうか」
「絶対に無理だな」
 そっけなく相棒のラグが言った。
 呆れたような顔をして、ぼくを見ている。
 ラグは道案内だ。彼の頭の中には緻密な地図が埋め込まれているらしい、その彼の道案内で今まで間違いがあったことはない。
「目的地まで余裕で二十キロは残ってる、でも一時間後には日が沈んでしまう、おまけに歩きにくい砂地だし、到底無理だよ、考えるだけ無駄さ」
 かつて彼方に蜃気楼のように見えている都市からは、四方に向かって幹線道路が伸びていた。その路上を多くの乗り物が行き交い、大勢の人々や大量の荷物を運んでいたのは間違いのない事実だ。
 でも今では、それは夢としか思えない。
 何もかも幻のように消えて無くなってしまった――、そんな後味の悪い夢。
 実は今、ぼくらは都市から伸びる幹線道路の上に立っているはずだった。
 しかし現実に目に見えるのは見渡す限りの砂ばかりだ。道路の片鱗はもちろん、一本の草木すら見えない。なだらかなカーブを描く砂丘が点在しているだけの単調な景色。もし地底を探査する能力があったなら、足の遥か下に何かを見出したかもしれないけど、そんな力も装備も持ち合せてはいないのだ。
 ただひとつ判っていることがあった。
 何もかも流砂に飲み込まれ、地中深く埋もれてしまったのだ。
 ぼくは溜息をついた。都市の幻影を頭の中から追っ払うように軽く頭をふってみる。
「そっか……。それじゃ野営の準備が先だな」
「ああ、もちろん。ほくらまで砂に埋もれてしまったら、洒落にならないからね」
 ラグは言いながら笑った。
 明るい、無邪気な笑顔だ。
 その顔を見ていると、ついさっき味わった落胆なんて、たちまち消えてしまう。
 これで今日の行程も終わりだ――、歩き続けていたから疲れているけど、そう思うだけで気持ちが高揚するのか、自然に笑みが漏れてしまうのだ。
 野営地を探して、ぼくらは近くにあった砂丘に登った。そして遠くに見える都市の姿を眺めた。水蒸気の乏しい透き通った空の下、遥か遠くに見える都市は、キラキラと巨大な宝石のように輝いて見えていた。

《続く》




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