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瘴気沼奇譚(01) 


「今日も陽が昇ったか……」
 眩しい光にナージは顔をしかめた。粗末な小屋の窓から、一条の光が差し込んでいる。
 瘴気沼――、そう呼ばれる湖水を囲むこの一帯には、鳥も恐れて寄り付かない。おそらく鳥たちの本能が瘴気の危険を悟らせているのだ。もちろん人々も経験上、その危険性を知っている、さらに沼の中ほどに浮かぶ小島に住まうナージを恐れて、よほどのことがない限り近寄ろうとはしない。
 この地に暮らす限り、鳥のさえずりに目覚めるという朝は、永久に訪れない。もっともナージの頭に去来したのは、また今日という一日を生き長らえねばならぬのか――、その醒めた思いだった。
「やれやれ、まったく難儀なことだ」
 寝台の上に身を起こしながら、ナージは低く呟いた。
 いつも眠りにつく時は、いっそのこと目覚めなどなくてもよい――、そう念じるのが常だった。訪れる朝のたびに、その願いは儚く破られているのだが……。だから目覚めるたびに味わうのは、希望などではなく常に落胆でしかない。
 そして物心がついて以来、目覚めたときの習慣が、己の左腕に目をやることだった。
 ナージの右腕は常人と変わらない。だがその左腕は……、覚醒していれば目に触れぬよう隠すこともできる、だが寝起きでは、目に触れる機会が多いのだ。
「醜い……」
 思わず顔を背けながら、そう呟かずにはいられない。


<<続く>>





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