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黒き輪廻、蒼天の輪舞(21) 



「止まれっ!」
 ホアンの馬を数人の男が遮った。
 その声は低く押し殺した唸るような殺気に満ちた声だった。
 それぞれ手には抜き放たれた剣が握られている。
「何者……!」
 ホアンの誰何の声が弱々しく夜の街に響いた。
 しかしその声は怯えの色に染まり、威厳の欠片すらない。「な、何者だ、私を誰だか知っているのか、いったい何をするつもり……」
 いつの間にか馬の周りを数人の人影が取り巻いていた。
 遠くの街灯の灯が男たちが手にした剣に小さく映っている。
「ひぃ……、助けてくれっ」
 馬丁が小さく悲鳴を上げて馬の前から走り逃れようとした。「関係ないんだ、お助けを!」
 その刹那だ。
 馬丁の進路を塞ぎ、人影の一つが無造作に剣をはらった。
「ギャッ!」
 無様な声を上げて、馬丁は石畳の街路に倒れ伏した。
 その周囲にゆっくりと黒い染みが広がっていく。何度か身体を引き攣らせた後、馬丁の身体は動かなくなった。
 それが合図だったように、男達は一斉に従者たちに斬りかかった。
 数合い切り結んだだけで、たちまち従者たちの姿は血に染まって冷たい街路に横たわっている。主を失った馬たちは怯えた様子で走り去ってしまい、蹄の音が空しく街に木霊し、そして消えていった。
「ゲル……!」
 ホアンは助けを求めようと、横に並んで馬を進めていたはずの騎士の名を呼ぼうとした。
 が、その声は驚きの為、最後まで続けることができなかった。絶句したまま、ホアンの身体は凍りついたまま動けないでいた。
 なぜなら、ホアンの首筋に鋭く冷たいナイフが突きつけられていたのだ。
「か、金か……。そうだ、金が必要なんだろ、い、いくらでも出す、だから命だけは助けてくれ……」
 無様に震えながら、ホアンの口から搾り出すような声が漏れた。
「黙れ!、無駄口を叩くな」
 ケルキナは無表情に鋭く言い放った。「いいか、容赦はしない」
「では何が目当てだ」
 か細い、震える声。「頼む、助けてくれ」
「うるさい、喋るなと言うのだ!」
 その言葉と同時に、ナイフがわずかに閃いた。
 皮膚をその厚さだけ切り裂いたのだ。
 傷口から血がわずかに溢れ、白い着衣を濡らしていく。やがて血の染みがジワジワと広がり、血の色を鮮やかに染めていった。
 それでも命乞いしようと、ホアンは横目で必死でゲルキナの姿を追っていた。
 だが、たちまちホアンの顔から生気が失せた。
 それはナイフの冷たい感触だけが原因ではなかった。それ以上に冷たいゲルキナの目――、憎しみに燃えた瞳に恐怖したのだ。
 ゲルキナの顔に微かに浮かんだ満足気な冷たい笑みが、ホアンに自らの死を本能的に悟らせた。逃げようとすれば、瞬時に容赦なく命を絶たれるに違いない――、その思いが逃げる気力さえ萎えさせ、ホアンから思考を奪っていた。



《続く》




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